銅に関するQ&A銅について知る
耐食性・耐久性
参考資料
- 銅及び銅合金の耐薬品性に関する資料 (837KB) 伸銅品データブック(一般社団法人日本伸銅協会 編集)
- 築用材料の腐食と化学的性質に関する資料 (2.57MB) 伸銅品データブック(一般社団法人日本伸銅協会 編集)
Q1
黄銅(C3604B)のCO、CO2、NOx、C3H8に対する耐食性(使用可能かどうか)について教えてください。また、銅の腐食物質に対する耐食性一覧表のようなものがありますか。
A
プロパンについては全く問題ありません。CO、CO2、NOxについてはドライであれば問題ありませんが、ウエットでは腐食の可能性あります。耐食性について詳しくは「伸銅品データーブック」(日本伸銅協会発行)をご覧ください。
Q2
給水や給湯用に用いた場合に疑問に思ったことがあります。
- 異種金属が近傍(あるいは接触して)存在する場合、どの程度電位腐食が起きるのでしょうか。(パイプの厚さ1mm程度あっても穴が開いたりするのでしょうか。)
- 同じ銅合金でも、作成方法が異なった場合は、電位腐食が起きるのでしょうか。(例えばC1220(リン脱酸銅)とC1100(タフピッチ銅)の間で電位差が生じ、電位腐食が起こりえるのでしょうか。
A
異種金属接触腐食に関しては、1)電位差が大きいこと、2)電気を伝え易い液体があること、3)酸素があることが条件となります。電位差については、ステンレスと銅ではこの腐食が生じないと言われており、従ってこの程度の差では問題ないと考えます。これによりC1220とC1100との間では起こらないと考えます。また、仮に電位差があっても酸素が供給されない場合とか絶縁されている場合にはこの腐食は生じません。
Q3
一般的に硫酸イオン、塩化物イオンが多い水には、銅配管は適さないのでしょうか。適さないのであればどのくらいの濃度からでしょうか。硫酸イオン、塩化物イオンの安価な処理方法はあるのでしょうか。
A
処理専門企業K社の見解は、目安として硫酸イオン20ppm以下、塩化物イオン30ppm以下となっています。銅管の場合、硫酸イオンについては、マトソン比すなわち重炭酸イオンとの比較で硫酸イオンが>重炭酸イオンの場合孔食の危険性ありと言われています。従って、必ずしも絶対値だけで判断できません。塩化物イオンについては、ステンレスなどに比べ耐食性が高いと考えます。硫酸イオン、塩化物イオンの処理方法については、フチン酸等による添加による中和が従来とられてきた方法です。
Q4
マウンドレス型孔食の対策として水質改善とありますが、既設の配管系統に孔食の予防になる装置等をいれ対応したいと思います。そのような製品はあるのでしょうか。
A
孔食に対しては、水質改善が有効ですが、個人ベースでは難しいと思います。pH調整や腐食媒となる成分の除去等考えられますが、事業体レベルしかできません。装置では、やや大掛かりになりますが、脱気器の設置が効果あると言われています。溶存酸素を除去することで腐食から守る方法です。
Q5
現在、住宅の改修工事にて銅屋根葺を検討しておりますが、既存のステンレス製排気塔との取り合いについて質問いたします。銅とステンレスの電位差による腐食の可能性はありますでしょうか。できれば、直接に接合を考えたいのですが…。
A
銅とステンレスは、一般的には異種金属接触腐食を起こさないと言われています。これは、銅とステンレスとの電位差があまりないことに拠ります。管でも直接接合していますので問題ないと考えます。
Q6
銅管(リン脱酸銅)の蟻の巣状腐食に関する研究に関連して、熱交換器において、蟻の巣状腐食(銅管内側からの)の発生対策があれば教えてください。
A
- 蟻の巣状腐食媒となるのは、カルボン酸です。アルデヒド類、アルコール等もろう付けなどで加熱することによって酸化され結果的にカルボン酸になってこの腐食を起こします。
- 今回のケースでは、管内面なのでろう付けに於ける酸化防止剤が原因として第一に考えられます。酸化防止剤にはアルコールが含まれているものが多く1.に示すとおりです。
- 対策としては、不活性ガス(窒素)に切り替えると良いと考えます。
- 酸化防止剤を用いていない場合では、曲げ加工等に用いる油等に含まれる成分が原因の場合が考えられます。いずれにしても腐食の要因になっているものをつきとめて使用しなくすることが対策です。
Q7
配水管に使用されている銅管の耐久年数はどれ位なのですか。また、緑青が銅菅の磨耗と関係あるのですか。
A
配水管では以前、金沢市で54年間埋設されていた銅管を掘り起こし調査しましたが、健全な状態をキープし今後もずっと使用できる状態でした。給水に於いては、このように耐久年数は非常に長いと考えます。緑青に関しては、銅の保護皮膜の役割をしますので、エロージョン(潰食)から銅を守ります。
Q8
銅管を給水、地下水用の地中埋設管として使用したいと考えているのですが、私が調べたところによると、水質、地質によって腐食の度合いが違ってきているようです。水質、地質に関係なく銅管を地中埋設管として利用する方法はないのでしょうか。
A
銅管の腐食を考える場合、内面からと外面からの両面あります。水質に関しては、内面腐食に影響します。上水は基本的に問題ないと考えます。地下水は、遊離炭酸値をチェック願います。17ppm以上は危険との報告あります。外面については、埋設による土壌の影響が大です。pHが中性域にあること、銅の腐食媒になる成分がなければ、裸で埋設可能です。しかし、安全を考えれば、被覆銅管を使うか、裸銅管の防食テープ巻きが一般的です。
Q9
メタンガスやメチルエチルケトンガスは、銅に対して腐食性であるのかを教えてください。
A
メタンガスやメチルエチルケトンガスに対しても耐食性を有していますので、問題なく使用可能と考えます。有害な不純物(特に硫化物)などが含まれているとそれが原因で腐食を生じる場合がありますのでご注意ください。
Q10
井戸水を水源にした場合、腐食は激しくなるのですか。また、錫コーティング管はどうですか。価格はどれほど高くなるのですか。
A
全ての井戸水が腐食を起こす訳ではありませんが、遊離炭酸分の多い場合孔食を起こす可能性があります。遊離炭酸分が15ppm以上の場合は、対策が必要と考えます。一つは、遊離炭酸を追い出す方法(バブリング、シャワーリングなど)か、もう一つは、配管側で対策(錫めっき管や塩ビ等樹脂管)する方法です。錫めっき管の価格は、一般の銅管の2倍程度ですが、水道工事の内、材料費は比率が低いので材工トータルとしては、さほどアップにならないと考えます。
Q11
排水よりの腐食性ガスで冷媒配管(銅)が腐食しガスリークが発生しました。銅管(2~3分程度)です。銅管を腐食させる腐食性ガスの種類及び腐食した銅管を解析してくれる所を教えてください。
A
雰囲気による銅管の腐食では、
これらは、漏洩管を確性調査すれば、どの腐食かを判定できます。従って、まず腐食の形態を把握した上で、原因となったガスを特定して行く方法をお奨めします。
- 酢酸などのカルボン酸による蟻の巣状腐食
- アンモニアなどによる応力腐食割れ
- 亜硫酸ガス等による酸による腐食
これらは、漏洩管を確性調査すれば、どの腐食かを判定できます。従って、まず腐食の形態を把握した上で、原因となったガスを特定して行く方法をお奨めします。
Q12
施設のボイラー給湯循環ポンプラインの銅管内部腐食が激しく、ピンホールに追われている為に銅管を全部取り替えたいと見積思案中です。主管11/4でポンプ前後は3/4です。また、ポンプは口径3/4で吐出量0.056m³/minです。流速制御機能が無く困っております。コストの安い流速押さえと気泡の除去は可能でしょうか。それともステンレス鋼管にするべきでしょうか。
A
このケースは、潰食と考えます。過大な流速、気泡の存在、流れの乱れによって生じるものです。
漏洩が20Aのみで起こっているのか32Aと両方で起こっているのか不明ですが、少なくとも20Aでは流速が2.8m/sとなり流速過多です。2サイズダウンによって流速は2.5倍になっています。 流速を下げる方法としては、配管サイズをアップするか、ポンプの容量を落とすか、ポンプにスピルバックラインを設けるか、制御性のある弁で絞るか等が考えられます。
エア抜きに関しては、気水分離器メーカー(サンライズ工業株式会社)等へご相談願います。
漏洩が20Aのみで起こっているのか32Aと両方で起こっているのか不明ですが、少なくとも20Aでは流速が2.8m/sとなり流速過多です。2サイズダウンによって流速は2.5倍になっています。 流速を下げる方法としては、配管サイズをアップするか、ポンプの容量を落とすか、ポンプにスピルバックラインを設けるか、制御性のある弁で絞るか等が考えられます。
エア抜きに関しては、気水分離器メーカー(サンライズ工業株式会社)等へご相談願います。
Q13
産業機器に銅管を使用しています。この銅管を冷却用のために工業水を流しています。銅管の内部が部分的(管の曲がり部)に虫に食われたようになりました。そこは銅が溶け出したように見えます。水質によりこのようなことが発生することがあるのか、その原因等についてご相談できますか。
A
- これは、潰食(エロージョンコロージョン)と推定されます。
- 流速が速い。気泡が混在している。流れに乱れがある。以上のような場合に生じます。
- 水質的には、pHが低く酸性サイドで、銅管に保護被膜が形成されにくい場合にこの現象は助長されます。
対策ですが、エルボ部分の流れの乱れは仕方ないので、「流速を下げる」と「気泡を分離する」ことが有効と考えます。
Q14
- 銅管の表面が緑青し経年重ねることにより銅管が薄くなるということはありますか。
- 銅管に穴があく孔食という現象がありますが、緑青とは関係ありますか。
A
- 一般的に銅管内面は、緑青が付き、これが保護皮膜になって母材である純銅を守ります。従って緑青発生によって銅の肉厚が減ることはありません。
- 肉厚が減る例としては、給湯配管で流速が急激に速く気泡がある場合に潰食といって銅が削られてしまう現象があります。
- 孔食では、マウンドと呼ばれる小山が点在しますが、これらは、炭酸銅や硫酸銅で出来ていてカサブタのような働きをし、マウンドの中で酸性が濃くなり銅を溶かす現象です。マウンドも緑青の一種ですが、点在していることが診断のポイントです。なお、孔食は水質に依存し、遊離炭酸や硫酸イオンの多い水質で起こり易い腐食です。
Q15
築10年超のマンションで給湯銅管にピンホールが開き、漏水を起こしている物件があります。給湯銅管の管更生工事を行っている会社をご紹介ください。
A
マンションの給湯配管の場合、細いので更生工事は非常に難しいと思いますが、次の業者に相談してください。
日本リニューアル株式会社:(Dream工法)排水が主のようですが、他の用途の配管も施工可だったと思います。
日本リニューアル株式会社:(Dream工法)排水が主のようですが、他の用途の配管も施工可だったと思います。